日本膵・胆管合流異常研究会

会長挨拶

会長写真
日本膵・胆管合流異常研究会会長 田代征記
 日本膵・胆管合流異常研究会のホームページをご覧いただき有難うございます。

 本研究会は、日本小児外科学会開催時に、徳島大学の故古味信彦教授が、1978年から主催された「膵管と胆管の特異な合流形態を来す病態を勉強する夜の会」をその前身とする研究会です。1983年に故古味信彦初代会長のもとで、第6回日本膵・胆管合流異常研究会が開催され、その時から正式な研究会として発足しました。すでに40年以上の歴史を有する伝統ある研究会です。

 その長い歴史を紐解いてみることにより、本研究会が、これまでどのような課題に取り組んできたのか、また、取り組んでゆかねばならないのか、さらに本研究会の今後のあるべき姿はどのようなものなのか、その一端を皆様にお分かりいただけるのではないかと思います。そこで以下に簡単に本研究会のあゆみをご紹介させていただきます。

 初期には、膵・胆管合流異常(合流異常)という形態異常の存在が、「夜の会」に参加するごく一部の方たちに認識され始めたものの、その頻度、発生機序などの詳細は全く不明で、まれな疾患であるものの小児外科領域ではよく知られていた先天性胆道拡張症(拡張症)との関係も、今ほどには明らかにはされていませんでした。

 しかし、歴代の会長ならびに学術集会の当番会長、また本研究会に係ってくださった多くの諸先輩の並々ならぬご努力で、合流異常という病態を明らかにするための様々な課題が明らかになり、その解決のための取り組みがなされ、その研究成果も出るようになりました。

 まず胎生学を基盤にした、合流異常、胆道拡張症の発生機序がテーマになりました。様々な説が提唱されていますが、未解決といってよく、コンセンサスを得なければならない重要な課題です。また、合流異常により引き起こされる「膵液の胆道内逆流」によって生じる種々の病態の解明は極めて重要です。特に胆道発癌は疫学的、分子生物学的な面からの研究がなされ一定の成果は得られました。しかし、合流異常という特殊な病態下での発がんの機序そのものの解明には未だ至っておりません。種々の領域からの基礎研究が必須であると思います。また拡張症における胆管拡張の定義に関しましても、拡張胆管を胆管径で定義するのであればその基準値は何ミリなのか、胆管径で定義するのでなければ拡張胆管の形態的特徴によらざるを得ないのですが、いずれも明確には規定されていません。胆管拡張を正しく定義することは、正確な診断に結び付き、また治療の選択の根拠になると考えられ、喫緊かつ最重要の課題です。

 一方、これらの課題が完全に解決されていなくても、実臨床では拡張症、合流異常に対する治療が必要です。拡張症に対する適切な術式は、胆管非拡張の合流異常に対する術式はどのようなものか。また胆道再建後の合併症であり、頻回の胆管炎、肝内結石を発症させ患者さんを苦しめる、胆管腸管吻合部狭窄を回避するためにはどうするかなど重要な課題が山積しています。

 このような現状、すなわち拡張症、合流異常の病態のうち、何が解明され、何が不確実で、何が全くの未解決な課題であるのか、また適切な治療法はいかなるものかということを改めて認識する必要があります。この考えを背景に、本研究会が中心となり、日本胆道学会と共同で、「膵・胆管合流異常診療ガイドライン」を平成24年に上梓しました。このガイドラインは大きな反響を呼びました。ぜひご一読いただければと存じます。

 さて、本研究会のこれからの進む方向ですが、これまでの本研究会の活動で解決できなかった課題に取り組む努力を継続してゆくとともに、安藤久實前会長が本研究会の新しい取り組みとして提唱された、1)先天性胆道拡張症を難病指定にすること、2)「膵・胆管合流異常の型分類」を完成させること、3)登録症例の追跡調査を行い、治療後の長期予後の実態を明らかにすることで各種治療法の妥当性の検証を行うこと、4)本研究会のアカデミックな活動を広報し、より多くの医療者に会員となって頂き、登録症例数の増加を図るという目標に向かっての活動を継続し、さらに「膵・胆管合流異常診療ガイドライン」を改定すること、そして、この分野特有の学術用語を適正化することも必要と考えます。


 この分野は既述いたしましたように、まだまだ解決しなければならない重要課題が山積しています。それゆえに、若い先生方には魅力ある基礎研究、臨床研究の対象が数多くある分野と考えます。先天性胆道拡張症、膵・胆管合流異常という非常に特殊な分野を対象に、黎明期から現在まで世界をリードしてまいりました本研究会とともに、この分野に新風を吹き込んでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。


2018年9月20日 
日本膵・胆管合流異常研究会 会長 藤井 秀樹 



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